浮腫(むくみ)の原因と解消法あれこれ

浮腫(ふしゅ)と書いて「むくみ」と読みます。

特に女性にとっては身近でよく聞く言葉ですよね。

「立ち仕事だから足がむくんで太って見える…」「ブーツが脱げなくてハサミで切った…」

なんて悲痛な声を聞いたこともあります。

 

このような、一時的なむくみならば健康に大した影響はありませんが、実は「むくみ」は大きな病気のサインでもあるのです。

「いつもと違う」「むくみがずっと続く」という方は、そのサインかもしれません。

 

むくみの原因は様々ですが、この記事では主に循環器の異常による浮腫(心性浮腫)について説明します。

すでに心不全な方に限らず、健康でもむくみに悩む多くの方に知ってもらえたらなと思います。

※体験に基づく素人目線の簡単解説記事です。明らかに異常かもと思われる方は、すぐに医師の診察を受けて下さい。

心不全による浮腫(むくみ)の原因

専門用語もりだくさんで書くと、なかなか伝わらないので超簡単に説明します!

むくみの起こるメカニズム

浮腫(むくみ)の犯人は水分。

毛細血管から血液中の水分が外に染み出すことにより、皮膚が腫れたようにぶよぶよと膨らみます。これが浮腫です。

皮膚表面が腫れるわけではなく、皮下組織の細胞と細胞の間にある「組織間液」という水分が増える現象を浮腫と呼びます。

※通常は体重の15%ほどがこの組織間液です

血管から染み出す水分のイメージ画像

血管から染み出す水分

血液中の水分は、浸透圧という作用により、血管の壁をすり抜けて組織間液に入り込もうとします。

これなら誰でもすぐむくんでしまいそうですが、健康な人の血管はそうならない仕組みが働いて、染み出さないよう防いでいるのです。

しかし様々な原因により、その仕組みのバランスが崩れることで水分が血管の壁を通り抜け、むくみが始まります。

血管内の圧力が高くなった

心臓のポンプ機能が低下した心不全の状態は、血液が心臓に戻りづらく停滞するため、毛細血管内の圧力が高まります。

静脈の血圧が上がることとなり、手足など末端の毛細血管からじわじわ水分が染み出します(押し出されるイメージ)。

健康な人でも、水分・塩分の摂りすぎによる血液量の増加や、血行が悪く血管内に血液がとどまりすぎると起こります。

血管自体の異常

糖尿病や膠原病などの症状として、血管のタンパク質の濃度が低下。

血管の浸透圧が変化してしまい、外部の組織間液に水分を通しやすくなってしまいます。

心不全による複合的な要素

心不全では血流不足により腎臓の働きも低下。

尿の量は減り、本来排出されるべき水分が体内(血液中)にとどまることにより、血液量が増えるので染み出してむくみが悪化します。

 

つまり、「浮腫(むくみ)は心不全の症状のひとつなので、異常なむくみは心疾患を抱えている可能性がある」ということです。

※異常なむくみ=数日で急にむくみがひどくなり、体重が一気に2キロ増えた…など

 

他にも、腎臓・肝臓・甲状腺・薬の副作用・糖尿病・膠原病などの疾患の可能性もあります。

すぐに医師の診察を受けましょう!

よく聞く女性に多いむくみとは?

血管から染み出してきた水分が原因である、というところは同じ。

なぜ女性に多いのか…実は筋肉が関係しています。

 

血液が静脈から心臓に戻ってくるための力は、心臓が吸い込む力の他に、筋肉の力もかなり使っています。

女性はその筋肉量が少ないために、特に足で血流が滞りがちになり、じわじわと水分が染み出します。

重力で水分は徐々に下のほうにたまり、夕方や夜になると立派なむくみ足の完成。

寝て起きればだいたい治りますよね。

 

寝起きで顔がむくむのもこれが原因。

起きているときは下半身に集まっていた水分が、長時間横になっていたので頭にも届いた。という簡単な話。

 

もちろん女性だけに限らないですが、元の原因は「運動不足(筋力不足)」「水分過多」である、といえます。

健康な人でも起こるので、これが原因ならば直ちに病気と結びつくことはありません。

心臓の機能が弱くて起こる心不全のむくみとは、そこが違うのです。

※老廃物を排出するリンパの流れが悪いという原因もあります。

心不全による浮腫の影響とは?

むくみと聞いて健康な方が想像するのは、「あぁ手足パンパンになって大変だね~」くらいでしょうか。

しかし心不全による浮腫は、全身の臓器にまで及ぶため様々な悪影響を与え、放置すれば生命が危険になります。

浮腫による症状

・消化器系のむくみによる吐き気、食欲不振
・肺のむくみによる呼吸困難
・肝臓のむくみ(うっ血肝)による肝機能低下
・脳のむくみによる頭痛
・体液の増加による心臓負担増

足の血行が悪く、常にむくみがある状況をそのままにしておくと、下肢静脈不全(静脈還流障害)という病気になる恐れがあります。

炎症を起こし、痛み・だるさ・皮膚炎・静脈瘤など、最悪は外科手術での治療も必要になるかもしれませんので要注意!

 

肺に関してはむくみというより「水が溜まる」という表現が正しいでしょう。

肺の中は多くの血管が張り巡らされていて、そこから水分がたくさん漏れ出し内部に溜まります。

「肺うっ血(肺水腫)」と呼ばれる症状です。

肺水腫を起こした状態のレントゲン写真

肺のむくみ(肺水腫)の状態

このレントゲンは、僕が急性心不全で肺うっ血を起こしている状態の写真です。

肺のあたりが白くぼんやりしていますが、ここまで進むと、呼吸困難などで極めて危険な緊急事態。

わりと身近なむくみですが、これほど重症なものもあるのです。

これは浮腫なの?むくみの調べ方

心不全と診断された方は、いろいろな制限や日々の血圧測定など自己管理を徹底していることかと思います。

手足のむくみも、自分の状態を知る貴重な判断材料です。

健康な方でも異常の早期発見のために覚えておいたほうがいいでしょう。

指で押す

むくみのプロなら触らずとも感覚でわかりますが、客観的に見るために指で押してみましょう。

足の甲・すねをギューッと押し、なんでもない場所と比べ、むくみのある場所は明らかに押した跡がしばらく残ります。

靴下を脱いでからゴムの跡が長いこと消えないな…これもむくんでいる証拠。

体重の増加

摂取した水分 ー 排出した水分 = 体に溜まった水分

という簡単な理屈で、水を1L飲んだのに尿が500mlしか出ていないなら、体重は500g増えています。

普通の生活をしていたのに数日で体重が◯キロ増えた!なんて方は、間違いなく水分がうまく排出できていない証拠。

 

短期間での急激な体重増加は病気の可能性が高いです。

心不全の方ならば、これは悪化して急性心不全となる危険度が高い兆候なのですぐに対処しましょう。

聴診器

医師も看護師も首からぶら下げてかっこいい気がするあれ。

ファッションアイテムではありません。

聴診器は呼吸器・循環器などの異常をすぐその場で検査・判断できる超優秀な装備なのです。

 

心不全の肺からは「水泡性ラ音」という特徴的な音が聞こえるそうです。(コポコポ・ゴロゴロ・プツプツ)

安いもので1,000円くらいから売っているので、気になる方は購入してみてはいかがでしょうか。

レントゲン

目で見てわかる肺のむくみ(うっ血)判断はこのレントゲンが一番。

少し上に貼ってあるレントゲン写真は、僕が急性心筋梗塞による急性心不全で、肺うっ血を起こしているときの画像です。

そこまで白くなっていると安静時でも呼吸困難で、横になると全く息ができません。

 

レントゲンは、肺に水分があると白く映るので、すぐに判断できます。

その他いろいろな疾患を発見できるレントゲン超優秀。

ぶよぶよはイヤ!オススメのむくみ対策

むくんでいると、気になって最高に気持ちが悪いものですね。太って見えるし…

原因となる疾患や緊急性がなければ、特に治療は必要ないので、生活習慣の改善をしましょう。

減塩

塩分(ナトリウム)を摂取すると、体内の塩分濃度を調整しようとして体が水分を多く摂り込むようになります。

そうすると血液の量が増え、血圧が上がり、毛細血管から染み出す水分も多くなってしまいます。

 

塩分を控えることで水分の排出をスムーズにし、むくみの予防ができます。

ダイエット目的の運動とあわせて意識することで、かなりの効果があるかも!

水分制限

これは単純な話。むくみの元である水分を制限することで、体内の水分量を減らす作戦。

飲んだ(体に摂り込んだ)水は、一時的に血液となり血液量が増えます。

血液が増えれば、余計な水分が血管から染み出してむくみの原因となります。これを抑える。

 

ただし、血液ドロドロ化や熱中症のリスクが高まるので、健康な方はしっかり水分を摂りましょう!

心不全さんは医師の指導のもと、体調と相談しつつ管理しなければなりません。

運動

筋肉が心臓の働きを助け、血流をスムーズにしてくれるので、かなり効果の高いむくみ対策です。

ふとももやふくらはぎの下半身を鍛える、階段の昇り降り的な運動がよいとされています。

 

心不全に過剰な運動は禁物ですが、過剰な安静も禁物。

筋力や肺活量などの心肺機能が低下し、心不全が悪化する原因となることがあります。

適度な運動で心肺機能を高め血流を改善することで、むくみ、さらには心不全自体の治療にも効果が期待できるでしょう。

マッサージ・足湯

効果的なマッサージや足湯を使うことで、筋肉が温まり緊張がほぐれ、血管が拡張します。

血圧は下がり、滞りがちだった血流も復活。むくみは一時的にせよ改善するでしょう。

解決はしませんが、いわゆるリンパマッサージで即効性のある効果が期待できます。

 

ただし、もともと血圧が低い人はさらに下がり、逆に血流が滞り悪化する可能性があります。

足を心臓より高く上げるストレッチやマッサージも血圧の変化で心臓に負担をかけるため好ましくない場合もあります。

心当たりのある人は医師と相談して行いましょう!

利尿薬

最強のむくみ対策である利尿薬。

塩分(ナトリウム)を吸収するのを抑えるため、体が水分を溜め込まなくなり、結果的に尿として排出するのを促す仕組み。

心不全の患者は、うっ血(内臓のむくみ)を防ぐために必須の薬です。

しかし、当然ながら薬なので、医師の処方が必要です。

副作用もあり気軽に使うわけにはいきません。

 

水分過多によるむくみを改善するならば、日常生活で利尿作用のある飲み物を飲むのがいいでしょう。

コーヒー・紅茶・玉露などカフェインを多く含む飲み物が利尿作用が強いとされています。

まとめ

かなり身近で、ほとんどの人が体験したことがある浮腫(むくみ)ですが、実は大きい病気が隠れている可能性があるということがわかりました。

「最近みょうにむくみがひどい…」「なんか突然体重が一気に増えた…」「やたら息切れする…」

こんな方は「いつものことだ」と思わず、お医者さんに相談してみてください。

 

普段なにげなく飲んでいる水分ですが、必要以上に体内に溜まることで様々な悪影響が出ます。

特に心臓のパワーが落ちた心不全の方には深刻な問題。大げさでなく、間違いなく命に関わることです。

 

体のむくみに一喜一憂するでなく、自分でコントロールする自己管理術を身に着けたいですね。

心不全の方もそうでない方でも、意識的にむくみ対策をすることで健康的な生活につながるので、ぜひ試してみましょう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください