健康診断などで指摘される人が多いかもしれない「心拡大」
どう見ても心臓が悪い雰囲気がプンプンする言葉です。
しかし、ほとんどの方はお医者さんに「心臓が大きい」と言われたきり普通に生活できています。
「心拡大」「心臓拡大」「心臓が大きい」とはいったいどういう病気・症状なのでしょうか。
今回は似たような言葉の「心肥大」「心臓肥大」との違いも調べてみました。素人目線。
心拡大とは?
心拡大とは、文字のとおり「心臓が拡大」した状態。心臓自体のサイズが普通より大きくなっている状態のこと。
心臓の大きさといえば、にぎりこぶし大というのを聞いたことがあるかと思います。
それが何かしらの原因で大きくなってしまうことがあるのです。
まずはこちらのレントゲン画像をごらんください。

心拡大した状態の心臓
これは僕が急性心筋梗塞から慢性心不全となって、1年半ほど経った心臓の画像です。
心拡大の診断は胸部レントゲン写真を見て、「胸郭に対する心臓の大きさの割合(CTR)」によって判断されます。
普通の健康な方のCTR数値は40~45%ほど。
※ここでいう胸郭とは胸の内部空間のことです
心拡大が進行中の僕は、上のレントゲン写真を簡単に測って計算してみると、約65%でした。
これが50%以上、つまり胸郭の半分以上が心臓で、心拡大と診断されるようです。
50%に行かなくとも、近ければ「心臓が大きい」と言われて注意されます。
それぐらいなら影響ありませんが、心拡大と診断されればもれなく精密検査が待っています。
さて、いったいどうして心臓が大きくなってしまうのでしょうか。
心拡大の原因
原因はいろいろあれど、超簡単に言うと「心臓が弱ったので大きくなった」です。
ではなぜ弱ると大きくなるのでしょうか?
心臓は、全身のあらゆる細胞さんたちに、エネルギー源である血液を送り届けています。
弱って動きが鈍ると、血流量が不足してしまいます。
そこで心臓さん考える。ポンプを大きくして1回に送る量を増やせば足りるんじゃない?
ということで、心拡大の原因は、心臓が自分自身を大きくして1度の動きで送れる血液量を増やそうとした結果なのです。
※心臓内部の弁や壁に障害のある病気は除く
※激しいスポーツを続けていると、多くの血液が必要なので拡大することがある(スポーツ心臓)
・高血圧による負担増
・心筋梗塞、狭心症などの虚血性心疾患
・慢性心不全
・心房細動(不整脈)
・拡張型、頻脈源性心筋症
・大動脈、僧帽弁、三尖弁閉鎖不全
・シャント性先天性心疾患
半分くらいよくわかりませんね。僕は医者ではないのでそれぞれの診断やらはできません…
4か所ある心臓内部の部屋のうち、どれが拡大しているかによって絞りこめます。
これからわかるのは「心不全」があらゆる心臓病の結果に起こる症状なので、
上記の心臓病の結果である「心拡大」も、心不全の症状のひとつである。ということです。
つまり、心拡大は体の防衛本能が引き起こした副作用だったのです。
心拡大によって起こる不具合は?
先ほど、血流量を確保するために心臓が大きくなっていると説明しました。
まさしく一番の問題はそれ。常に大きな負担をかけている点です。
長期間にわたって負担をかけ続けると疲弊し、不具合が起こりやすくなり、いわゆる寿命が短くなります。
そして、上記の疾患による原因を取り除けないと、心臓のパワーは落ち、さらなる心拡大を招きます。
疲弊した心臓は何かのきっかけで動きが破綻し、血流不足からの心不全 → 急性心不全となる恐れも。
さらに、心臓が大きくなることで、壁が薄く伸びてふくらませた風船のようになります。
心臓の動きは鈍くなり、血液のポンプ機能は低下、血液が停滞して心不全悪化を招きます。
心拡大の原因となる疾患には、自覚症状がないまま突然死を迎える病気もあるので、定期的な健康診断が必要です。
心拡大の治療法は?
基本的に、心拡大自体を治療するわけではなく、原因となった疾患を治療します。
そうすることで心臓が大きくなる理由がなくなり、時間をかけて自然と元のように普通の大きさに戻るでしょう。
ただし、治る見込みのない慢性的な疾患は、投薬などで肥大化を止めなければなりません。
これは一生にわたって続けなければならないので、患者の大きな負担になります。
主な治療薬として「β遮断薬」(血圧・脈拍を下げる)など、心臓の働きを抑えるための薬が処方されるでしょう。
体液(血液)を減らして心臓の負担を下げるため、利尿薬も必要です。
心不全の重症度によっては、大量の薬のお世話になる毎日となってしまいます。
心疾患の方で、それでも心拡大が進行するようなら、外科手術による治療法があります。
特定の大きい病院にて、人工心肺装置を使っての大がかりな手術になるため、かなりのリスクを伴います。
・バチスタ手術(左室形成術)= 機能不全になっている心臓の一部組織を切り取り、心臓を小さくして動きを改善させる。
・心臓移植 = 最後の手段。相当なリスクを伴う大手術で、心臓移植は術後1年生存率が80%ほど、10年生存率が50%ほどと言われています。
僕は主治医に心臓移植を提案されました。こわいこわい。
心肥大とは?心拡大との違い
よく混同されがちな心拡大と心肥大。何が違うのでしょうか?
お医者さんですら間違えて使うことがあるらしいこの用語。こちらも簡単に説明します。
心拡大は「心臓自体のサイズが大きくなる」でした。
いっぽう、心肥大は「サイズは変わらず心臓内部の壁が厚くなる」症状です。
内部の壁がぶ厚くなることで、心臓の動きが妨げられ、血流が滞るようになり心不全を引き起こします。
こちらもまた、主に高血圧や心臓弁膜症の心疾患から始まる症状です。
高血圧が原因なら薬物や生活習慣の改善、心臓弁膜症なら外科手術にて治療します。
心筋に必要な血液が足りずに、重度の心不全や不整脈を引き起こす危険が高いので速やかな発見・治療が望まれます。
まとめ
レントゲン写真でわかるのは心拡大。
心電図やエコー検査などの精密検査でわかるのは心肥大です。
心拡大は、どこかしら心臓関係に不具合が生じた結果であること。
じわじわと進んで自覚症状はありません。
当たり前ですが、普通は自分で心臓を見ることもできないので、お医者さんから言われなければわかりません。
しかし見つけることができれば、その原因となっている隠れた心疾患をも発見できる可能性があります。
健康診断でレントゲンを撮るのはこのためでもあるのです。
なるべく正しい知識を身につけて、体調管理や健康診断にのぞみましょう。
早期発見、早期治療ですよ!
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